ルイーズ・ブルジョワ展に行ってきた

2024/09/30

美術館

はじめに

2024年9月25日から2025年1月19日まで、六本木ヒルズの森美術館にて展覧会「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」が開催されています。 ルイーズ・ブルジョワさん、失礼ながら存じ上げなかったのですが、六本木ヒルズの前に作品が置いてあるんですね。蜘蛛の作品で、「ママン」というそうです。 内定式のために前日入りしていて時間があったので、行ってきました。

(ただの個人の感想なので、それは違う!とかはナシです)

感想

彼女の作品はその時の身の回りの人の影響を大きく受けています。タペストリー修理の仕事をしていた母親、家庭教師と不倫した父親、夫と3人の息子、仕事仲間などなど。またその時期によって、彼女自身の役割も変わります。娘としての自分、母親としての自分、芸術家としての自分。その環境の中で、怒りや悲しみ、そしてそれを乗り越えた時の感情を作品にぶつけています。大きく「性」というテーマで、特に母親とカップル、家族についての作品が多かった印象です。

性については個人的に興味を持っていた時期がありました。理由は忘れましたが、「自分の性ときちんと向き合わなければ」と思い、男性性やフェミニズムについての本を読んだりしていました。その時は、自分には女性的な面はありつつもどうしても男性で、一生つきあっていくものなのだと半ば諦めに近い形でマイブームは終わりました。

こういう背景があり、ルイーズは性に対してどんな答え、考えを与えてくれるんだろうという気持ちで展示を鑑賞していました。で、実際どうだったかというと、男女ってそれぞれこうだよねという考えを与えられた気もしますし、男性と女性の境界を曖昧にされた気もします。どちらかというと後者が強いかもしれません。例えば自分はベッドの上の男女を見ると、どうしても男性の支配的な面と女性の服従的な面を感じてしまいます。ルイーズの作品でも2人がベッドの上で抱き合っているモチーフが多くの作品に使われているのですが、それをほとんど感じませんでした。もちろん胸や股間の形でどっちが男性でどっちが女性だ、ということがわかる作品もあるのですが、生物学的な性以上の情報がないように思えました。

では、前者を感じたのはどういう作品かというと、彼女もしくは周りの身に大きい衝撃があった時なんだと思っています。わかりやすいのは父親の不倫とか、ルイーズが母親になった時とかでしょうか。その大きい衝撃に対して答えを見出そうとし、それが作品に反映されているんだと感じました。

おわりに

総じて、ルイーズの人生を追うような(個展ってそういうものかもしれませんが)展覧会だったと思います。人生の中で多くの衝撃を経験し、それでもなお晩年に「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」と言ってのけたことに対して、素直にかっこいいと思いました。今回で性が何かをよりよくわからないものにされてしまいましたが、性とは案外そういう抽象的なものなのかもしれません。